★ 【神さまたちの夏休み】憑いてる神 ★
<オープニング>

 それは、何の前触れもなく、唐突にやってきた。

 銀幕市タウンミーティングがいったん終了となり、アズマ研究所の件はいまだ片付かないものの、あとはどうあれ先方の出方もある。
 そんなときである。リオネが勢い込んで、柊邸の書斎に飛び込んできたのは。
「みんなが来てくれるんだってー!」
 瞳をきらきらさせて、リオネは言った。嬉しそうに彼女が示したのは、見たところ洋書簡のようだった。しかし郵便局の消印もなければ、宛名書きらしきものも、見たことのない文字か記号のようなものなのだ。
「……これは?」
「お手紙ー」
 市長は中をあらためてみた。やはり謎の文字が書かれた紙が一枚、入っているだけだった。
「あの……、これ、私には読めないようなんだけど……」
「神さまの言葉だもん」
「……。もしかして、お家から届いたの? なんて書いてあるのかな」
「みんなが夏休みに遊びに来てくれるって!」
「みんなとは?」
「ともだちー。神さま小学校の!」
「……」
 どう受け取るべきか、市長は迷った。しかし、実のところ、リオネの言葉はまったく文字通りのものだったのだ。
 神さま小学校の学童たちが、大挙して銀幕市を訪れたのは、その数日後のことであった。


 ◇


 盛夏の陽射しが容赦なく燦々と降り注ぐ銀幕広場の噴水前で、今日も今日とて自称・銀幕市内で一番アンラッキーな男である寺島信夫が深々とうなだれながらガリガ○くんソーダ味を食べていた。
 寺島は時折思い出したように自分の横を気にしていて、そのたびに深いため息を漏らしている。
 ところで、寺島の横にはひとりの少女がちょこんと座ってガリ○リくんソーダ味を美味しそうにかじっている。
 少女は夜の色をしたつややかな巻き毛をツインテールに結い上げ、肌も弱冠浅黒く、そうしてふわふわとしたレースとフリルにくるまれたサマードレスで小さな身体を包んでいた。
 広場を行き交うひとびとを楽しげに見据える眼差しは夜を照らす月光の色。それをきらきらと輝かせつつ、少女は広場の真ん中近くで風船を配る道化姿の男を指差した。
「ねえ、あれ、なあに?」
 唐突に声をかけられ、寺島はちいさく「ひぃ」と声をあげた。その拍子にガリガリくんソー○味が手の中から転げ落ちて革靴の上に落ちる。
「ヒィィィ、これ、昨日買ったばかりなのにぃぃ!」
 情けない声をはりあげる。
 つやつやと磨かれていた黒い革靴は、いまやすっかりアイスにまみれていた。
「あーあ、ドジー。ねえ、そんなことより、あれなあに、あれ」
「そんなこと……」
 少女の言葉に深く肩を落とし、しかし諦めたような口調で寺島は応える。
「あれは風船ですよ。……もしかしたら犬とか花とか作ってくれるのかもしれませんが」
「ふうせん! 知ってる、きいたことあるよ。リオネのお手紙に書いてあったかもー。いいなー、ほしいなー」
「もらってきたらいいじゃないですか。行って、ついでに誰か違うひとに憑いてくださいよ」
「えー、ひどーい。あたし、シノブがいいんだもんー。ねえ、それにあたしいまこれ食べてるから、シノブ行ってもらってきてよ」
「パシらせるつもりですか!」
「うん」
 即答。
 にこにこと気持ちいいほどの笑みを満面に浮かべた少女に、寺島はまたもや深く肩を落とした。
「でも、うっかり動くと」
 言いながら恐々と立ち上がる。
 と、近くにいた鳩が驚き数羽が飛び立った。
「あ、」
 思わず声を洩らす。
 恐々と触れた肩先に、鳩が飛び立ったついでに落としていったものがべっとりとついていた。
「ひぃぃ、これ、やっと買えたスーツなのに〜!」
「やだー、シノブ。エンガチョー。バーリア!」
「うわああああ……!」

 我慢しきれず、寺島は弾かれたように駆け出していた。風船を持つ道化の方へ。
 と、寺島が風船の近くにまで達したとき、色とりどりの風船のひとつが派手な音と共にはじけた。
 広場を埋め尽くす悲鳴。
 顔を持ち上げた寺島の目に映ったのは、この暑いのに目隠し帽を被り短銃を手にした、いかにもな風体の不審人物(?)だった。
 男は真っ直ぐに寺島に走り寄り、情けない悲鳴をあげる寺島の首に腕をまわして叫ぶ。
「いますぐ金を用意しろ! あとは逃亡用に車だ! 金は五百万、いいか、すぐにだ! ちょっとでもおかしな動きをしてみろ、こいつの頭がズドンだからな!」
「ヒィィィ、ズドン〜〜!」
 いつの時代の強盗なのかというツッコミはさておき、人質にされた寺島はたまったものではない。

 少女はひとり、噴水の前に座って楽しげにそれを見ている。
 ○リガリくんソ○ダ味のアイスは、もうやがて食べ終わるところだった。
「ねー、シノブー。はやくリオネのとこに連れてってよー」

種別名シナリオ 管理番号195
クリエイター高遠一馬(wmvm5910)
クリエイターコメントまず、ご覧の通り、本シナリオはコメディ?なユルユルノベルとなります。

少女は不運の女神アーテ。アーテに憑かれてしまった寺島は、これからリオネのもとまで彼女を案内していく予定でした。が、アーテの好奇心ゆえ、あちらこちらと寄り道している間に、なんだか大変な(?)事態に巻き込まれた様子です。

皆様には、アーテをリオネのもとまで案内していただきたく思います。強盗うんぬんは、まあひとまず皆様が広場に集う理由に使っていただければ(その程度か・笑)。
なお、アーテに憑かれた寺島は、ただいま絶賛不運感謝デーに突入しています。とはいえ、アーテの力がまだ未熟なためもあってか、不運のレベルは比較的ちいさなものとなっている状態です。

アーテをリオネのもとに送りがてら、ついでに銀幕市内の案内や遊び相手をしてやっていただけませんか。

皆様のご参加、心からお待ちしております

参加者
鬼灯 柘榴(chay2262) ムービースター 女 21歳 呪い屋
リゲイル・ジブリール(crxf2442) ムービーファン 女 15歳 お嬢様
神宮寺 剛政(cvbc1342) ムービースター 男 23歳 悪魔の従僕
クラスメイトP(ctdm8392) ムービースター 男 19歳 逃げ惑う人々
梛織(czne7359) ムービースター 男 19歳 万事屋
<ノベル>

「乱暴はやめなさい!」
 茹だるような暑気の下、真新しい日傘を片手に持った少女が一際高い声を発する。公園内のほとんどの人間が視線をその少女に集めたのは、さすがに無理からぬ話といったところだろう。
 が、少女は自分の注がれる数多の視線になどお構いなしに、さらに凛とした声で寺島を、否、見るからに怪しい不審者に語りかけた。
「五百万あればいいのよね? 五百万じゃ今どきソファのひとつも買えないけど、そんな安いお金のために犯罪をおかすなんて馬鹿げているわ!」
 臆することもなくつらつらとそう口にして、少女は涼しげな青い双眸をゆったりと細め、次いで一転してやわらかな声音で微笑みかける。
「ご、ごごご五百万じゃソファも買えない!? 時代はもうそこまで高騰しているんですか!!」
 不審者にしっかりと囚われたまま、寺島は思わず白目をむいて社会を呪う。ちょうど新しい座椅子を買おうかと考えていた矢先のことだったのだ。家具売り場になど滅多に足を寄せないが、にしても今のご時世、そこまでに達していたとは!
 少女は寺島が勝手に抱いている絶望などつゆ知らず、ノースリーブの白いチュニックワンピースむろん膝上十五センチの涼しげな出で立ちで、とくとくと不審者を説得し続ける。
「わたしが五百万をお支払いするわ。だからその方を離して!」
「エエエ!?」
 白目をむいていた寺島が現実に引き戻され、同時に公園中の人々の視線が一斉に少女に向けられた。
 無理もない。彼女はまだどこかにあどけなさを残す風体の、十五・六歳ていどにしか見えないのだから。
「払うだと〜!? じゃあ今すぐ持ってこいよ! 今すぐ現金でだぞ。なんなら小切手でもいいんだぜ、お嬢ちゃん。ヒヒヒ」
「小切手? それはなに? 現金は……わたし、ホテルとかお店とかでは現金なんか使わないし……」
「それじゃあダメだ。どうせ車も用意できねえんだろ? じゃあこいつには死んでもらうしかねえなあ」
 言いながら不審者は短銃を寺島のこめかみにぐりぐりと押し付ける。もはや悲鳴を発することもできず、寺島は今しも失神しそうな気配だ。
「車……! わたしが乗ってきたものでいいなら差し上げるわ!」
 少女が咄嗟に指差した先に、不審者はむろんのこと、場の全員が目を向ける。車体価格一千万をゆうに超える、超高級車が止まっていた。
 場に居合わせた全ての観客(?)が一同に「おおおお……」と感嘆の声をあげる。
「おいおいおいおいお嬢ちゃん。いい加減にしねえと、お嬢ちゃんのかわいい顔にもズガンをやっちまうぜヒヒヒヒ」
「お嬢ちゃんじゃないわ。わたしはリゲイル・ジブリール。どうしてもっていうなら、わたしのことはレッドって呼んでもいいわ!」
「なんの脈絡もねえだろうがァァ!!」
 もっともなツッコミが公園の中に響き渡る。

 一方、その公園の傍ら。

 木蔭にあるベンチの上で、神宮寺剛政と梛織のふたりは未だ騒ぎを知らず、片手に缶ジュースを持ったままでぼんやりと言葉を交わしていた。
 剛政は時々思い出したように頭を抱えて呻き声を口にする。
 梛織はそれを『いつものこと』と捉えているのか、さほど気にかけるでもなく、飲み終えたジュースの缶を数メートル離れたゴミ箱に放りやる。
「ぃよっし! 今日もナイスピッチング!」
「はぁ……」
 自分の腕の良さに感嘆の声を発する梛織の横では、剛政が何度目になるかもしれないため息を深々と落としていた。
 いわく、剛政はかれの主人に「たかだか二十数人。それが同時にばらばらな言葉を発しているだけだろう。それを一度に聴き取ることも出来ないとは」などと言われ、ついには深い嘆息を吐かれたのだという。
「二十数人がだぜ。それが全員バラバラに違うことを同時に口にしたのをさ、いっぺんに聴き取るとか、そんなんぜってえ無理だろ、フツー」
「でもおまえんとこのご主人さんはやってのけたんだろ?」
「そうなんだよ、んなもん出来るかつったら、俺の目の前でだぜ。どこから出てきたんだか、三十はくだらねえような人数が出てきてさ。それが同時になんか言って、ジジイはそれを聞きわけやがった。あいつぁホントにバケモンだ」
「それで、自分がやってのけたんだからおまえにもおんなじことをやれっつったわけだ」
「やれるかっての!!」
 力任せに缶を握りつぶす。
「まあまあ、それはそれとしてだ。……ん? あれってリチャードじゃねえ?」
 剛政の嘆きもまるで関心なさげに、梛織が公園の一郭、ベンチからそう遠くない場所に目を向けた。
「リチャード?」
 ついで、剛政もまた同じように顔を持ち上げる。

 リチャードことクラスメイトPは本田さん宅まで出前に向かう道途中だった。
 岡持ちを片手に自転車に乗るという技は案外バランスの良さを強要される。かれもようやくそれに慣れてきたものの、それでもやはりまだ自転車はよたよたと危なっかしい。
 しかも、なぜよりによって公園の中にいるのか。本田さん宅は公園とは真逆な方向にあったはずだが。

「リチャード!」
 ベンチを立ってクラスメイトPを呼び、梛織は大きく手を振った。
 クラスメイトPは梛織の声に気がついて表情を綻ばせ、岡持ちを持っていた手を持ち上げて梛織に応えようとして――
「う・わああああああ!」
 お約束的に、大きくバランスを崩したのだ。

 鬼灯柘榴は酷暑にも涼やかな顔で、いつも通りに赤い着物に曼珠沙華を咲かせ、黒い日傘をさして、寺島と暴漢と「わたしをレッドと呼べばいいじゃない」などと主張し続けるリゲイルとを眺める観客のひとりとなっていた。
 柘榴の足下に伸びる影は寺島が――さらにはその奥で退屈そうに足をばたつかせている少女から発せられている”気”を吸収し、ときおり微妙に跳ねてとんでいた。が、観客たちは皆が皆寺島と暴漢とリゲイルとに気をとられているため、柘榴の足下で起きている異変になど気がつきもしない。
 悠々と目を細め、楽しげに笑みを浮かべながら、柘榴は寺島をこえ、その向こうにいる少女に視線を寄せて小首をかしげる。
 少女もまた柘榴の視線に気がついたのか、退屈そうにあくびをしながらも柘榴の顔をしげしげと見据えだした。
 と、足下の影――その中に住む使鬼がざわざわと小さく揺らぎだしたのに気がついて、柘榴はふと視線を少女から外して別の方を検める。
 そこには今にも倒れそうによたよたと走る自転車と、それに乗ったままのクラスメイトPがいた。
「まあ、リチャードさん」
 呟くも、その口許には一層色濃く笑みが浮かぶ。
 さらには、クラスメイトPを追いかけてか、梛織と剛政の姿もあった。
「まあ、まあ」 
 艶然とした微笑みがいよいよ際立ち、柘榴は思わず片手で口許を覆う。
 いろいろな要素が織り交ざって、楽しくなりそうなどとは、口が裂けても言わないほうがいいだろう。

「皆さん、よけてください〜! ああああ――ッ!」
 クラスメイトPの自転車はものの見事に転倒した。――寺島のすぐ前で。
「ヒエエエエエ!!」
 弱々しい叫び声をあげる寺島に、岡持ちの中の冷やし中華やら餃子やらが降りかかる。
「大丈夫か!」
 梛織が叫ぶ。かれは事態を把握し、不審者の横腹を目掛けて足蹴りを向けたのだ。同時に拳を振り上げたのは剛政だ。かれは主人に向けた怒りのすべてを拳にこめて、梛織が繰り出した蹴りと同時に不審者の顔に振り下ろしたのだ。
「な―ん―で―だ―アアァァ!」
 絶叫と共に不審者はそのままどこまでも吹っ飛ばされ、やがてはキラリと光る星になったかどうかは不明だが。



 ◇



 いろいろともう、なんだか本当に汚れてしまったスーツをクリーニング屋に持っていき、リゲイルが買ってくれた新しい服(これもやはりスーツだった)に着替えた寺島を、柘榴はなるべく憐憫をこめるようにと心がけた眼差しで見る。
「相変わらずですのねえ」
 しかし口をついて出た言葉は、呆れ果てたような、深いため息がてら落とされたものだった。
「うううう……」
 返す言葉もなく詰まってしまった寺島の上着の裾を、見た目こそ愛らしいアーテの小さな手ががっつりと握りしめている。
「不運の女神ねえ」
 なにを得心したものか、梛織はうんうんとうなずきつつアーテを見やり、アーテと目が合うとニカっと満面の笑みを浮かべた。
「まだまだ見習いだけどね」
 梛織に笑みを返しつつアーテが首をかしげる。梛織は「そっか」と笑い、アーテの頭をぐりぐりと撫でる。
 剛政は腕を組んでアーテと寺島とを見比べ、「よりによって寺島に憑くとはなあ」と憐れんだ言葉を口にした。
 アーテはそんな剛政を仰ぎみてツンと顔を背け、今度は寺島の腕に両腕を絡めつけるようにして引っ付く。
「で? リオネのとこに行きたいのね?」
 訊ねたのはリゲイル。アーテはちろりとリゲイルの顔を仰ぎ、そしてやはりすぐにまたツンと目を背けた。
「だったらさっさと連れていったらいいじゃねえか」
 再び口を開けた剛政に、片腕にアーテをぶらさげたままの寺島が「そうしたいのはやまやまなんです!」と叫ぶ。
「でも、この子が、せっかくだからリオネさんの住む銀幕市っていう街を見てみたいって」
「それで観光案内までしてやってたっていう?」
「はい……」
「ぐあー! なんてお人よしなんだ!!」
 大袈裟に頭を抱えてうめいた剛政の後ろ、さきほどからうずうずとしながらアーテを見ていたクラスメイトPがおずおずと口を開いた。
「あの、アーテちゃん? アーテちゃんって不運の女神なの?」
「だから見習いだってば」
「あのさ、じゃあ、僕の不運を取っ払ったりとかさ、そういうことってできるかな!?」
 揚々とした面持ちで、思い切り期待をこめて投げかけた問いかけだったが、
「無理」
 にべもなくフられ、炎天下、クラスメイトPはその場に凍り付いてしまった。
「っていうか、あたしはべつにシノブとかに不運を運んできてるわけじゃないわけ。あたしはシノブが気に入ったから一緒にいたいって思うだけよ。それでシノブがいろいろ大変な目にあうとか、そういうの、あたしにはあんまり関係のない話だしー? そんなあたしがなんでひとの不運? とか、そんなの取り払えるっていうのよ」
 続く爆撃。
 凍り付いていたクラスメイトPはそのまま卒倒しそうなほどに白目をむき、寺島は寺島で、そのまま風に吹かれて飛んでいきそうな気配を漂わせる。
「そうでしたの。……それで、アーテさんは銀幕市のどちらへ行ってみたいか、ご希望などありますか?」
 どん底に陥ったふたりを剛政と梛織とが懸命に宥めるのを尻目に、柘榴は相変わらず日傘をさしたまま、ゆったりとした笑みを満面に浮かべて問い掛けた。
「なんでしたらわたしの車がありますけど」
 リゲイルが申し出る。
「こう暑くては、歩きであちこちまわるのも大変かもしれないし。移動するにも車のほうが便利ですしね」
「車! 車って、もしかして、あそこに止まってる高そうなやつですか!?」
 転倒した年代物の自転車を横目にちらりと見た後、クラスメイトPは咄嗟に弾かれたように顔をあげた。
 視線の先にあるのは車体価格(以下略)。
 リゲイルはなんということもなさげにうなずいて、
「冷たい飲み物とかもありますよ。たしか、簡単なものだったら、スイーツも少しぐらいはあったような」
「車の中でお菓子とか食べたら、うっかり汚れてしまうかもしれませんよ!?」
 がばりと背を伸ばし顔を持ち上げた寺島が言葉を続ける。が、リゲイルはこれにもなんということもなく首をかしぐ。
「でも、広々としてますし、汚れても次の日には綺麗に元通りになってますよ? それにたくさん汚れたら新しい車に替えたらいいんですよ」
「まあ、名案ですわ」
 柘榴がうなずく。
 梛織はぎらりと目を光らせ、卒倒しそうになったクラスメイトPを支えていた両手をぱっと離して揉み手を始めた。
「車内のクリーニングやお部屋のクリーニング、その他もろもろ、なんでしたら深夜コンビニにアイスを買いにいくのでも、もうなんだってOKな万事屋をよろしくどうぞ」
 営業用スマイルと共にささっと差し伸べたのは万事屋のチラシ。
 リゲイルは興味深げにそれを受け取って「ありがとう」と嬉しそうに笑った。
「なんでもいいけど、ここって映画の街なんでしょ。それならそれで、なんかそれらしい名物料理みたいなのとかないの」
 一連の会話に興味なさげに目を細め、アーテは寺島の腕にしがみつきなおす。
「映画の街って……合ってるんだか合ってないんだか……」
「そうだな、ひとまずポップコーンでもどうだ。名物料理ってわけじゃねえけど、映画つったらポップコーンだろ」
「ポップコーン? 食べたことないわ。どんなかんじ?」
「干したとうもろこしを炒ると弾けてポップコーンになるんだよ」
「ふうん」
 クラスメイトPが言い、それを剛政が続けて、最後に梛織が説明をする。
 アーテは子供らしく目をきらきらと輝かせつつも、それでもあえて関心なさげに目を移ろわせている。
「ポップコーンといえば、やはりあそこかしら」
 柘榴が言い、
「だな。ひとまず移動するか」
 剛政がうなずく。
「それではわたしの車へどうぞ」
 リゲイルが微笑んで、一同は総勢七人が乗ってもゆったりと余裕のある車に乗り込んだ。


 ◇


「あ、そうですわ」
 車に乗り込み、しばし。柘榴が思い出したように目をしばたいた。
「寺島さん、他の皆様方もよろしければどうぞ」
「へ? なにこれ」
「お札(ふだ)ですか?」
 柘榴が袂から取り出したそれは数枚のお札で、妙に年季の入った風の紙に墨(だと思われるが、それにしてはいくぶん茶褐色染みているような……)でしたためられた文字が特徴的なものだ。
「これは墨……?」
 リゲイルが恐々と柘榴を見つめ、知らず受け取ってしまった寺島は返すにも返せず恐々としている。
 アーテは札に目をやって嫌そうに眉をしかめたが、柘榴はいずれにもゆったりとした笑みのまま。
「アーテさんの力に比べれば、もしやどうという効力もないかもしれませんけれど。……気休めていどにはなるかもしれませんし、厄除けにどうぞ」
 アーテの表情が強張るのを横目に、柘榴はどこか怯えた風の寺島にもう一度微笑みかけた後、半ば押し付けるようなかたちで寺島の手の中にねじりこむ。
「シノブ〜。そんなの捨てちゃいなよ〜」
 すかさずアーテが寺島の袖を引いて札を指差したが、寺島は弱ったように笑い、小さくかぶりを振った。
「アーテさん、誰かが良かれとくれたものを簡単に捨てられるはずがないですよ」
「うわ、寺島さん、僕いますごくいいセリフを聴いたような気がするよ」
 クラスメイトPが感動の声をあげ、寺島は「それほどでも」と応えながら気恥ずかしそうに頬を染めている。
 アーテは不服そうに頬を膨らませながらも、やはりしがみつくような恰好で寺島に引っ付いていた。
「すみません、僕もそれ一枚もらっちゃってもいいですか」
 次いで柘榴に顔を向けたクラスメイトPに、柘榴はごくやわらかな微笑みを浮かべてうなずく。
「もちろんですわ。――あなたも相変わらず良い陰気を放ってますのねえ。……あなたもなにかに憑かれてるのではありません?」
「ひぃ、シャレにならないことを言わないでよ、柘榴さん!」
「そうだな、いっぺん見てもらったらどうだ」
「そうだよ、せっかくここにアーテちゃんっていう、専門の子がいるんだしさ。みてもらいなよ、リチャード」
「エエエエエエ!?」
 梛織と剛政とに挟まれて、クラスメイトPは柘榴の言に青ざめさせた顔を一層白くする。
 おそるおそるアーテを見て必要以上に目をしばたかせ、意味もなく生唾を飲み込んでから口を開いた。
「あのぅ、アーテちゃん? その、僕、その、不運的な誰かが憑いてたりなんてこと、ないかな」
「えー。あたし今ダルいんだけど」
「そんなこと言わずに、YES NOだけでいいから教えてほしいんだけどさあ」
「ふーん」
 言いながら、アーテはクラスメイトPと、なぜか剛政の顔をもちらりと見て
「がんばるしかないよね〜」
 笑って、車の向かう先に見えてきた店――ジェノサイド・ヒルの看板を興味深げに見つめた。
「え、ちょ、それって」
「ってか俺もかよ!」
「うわあああ、皆さんぼくの仲間ですね!!」
「あーいいなあ〜! 俺も仲間に入りたかったよ! 入れなくて残念! ほんっと残念!」
 梛織がにやにやと笑う。
「つきましたよ」
 車がするりと止まって、リゲイルが安穏とした口調で告げた。
「へ、憑きました!?」
 咄嗟に反応をみせた梛織に首をかしげ、リゲイルは深くうなずいてから車の外を指差す。
「お店に着きましたよ」


 ◇

 道途中、車がたまたまカフェ『楽園』近い信号で止まったとき、剛政はなぜかがたがたと小刻みに震えた。
「なんで震えてるの?」
 アーテが問い、リゲイルは冷房の効きすぎを懸念した。が、剛政はどの質問に対してもかたかたとかぶりを振るばかり。
「ちくしょ、さっさと信号変われよ!」
 意味不明な苛立ちを口にする剛政の心中を察することができた者が、果たして車中にどれだけいただろうか。
 ともかくもその後は難なくスムーズにジェノサイド・ヒルに到着できたものの、少尉はちょうど不在だった。
 塩味キャラメル味カレー味の全種類を購入し(リゲイルが)、ドリンクもコーラオレンジウーロン茶と購入(リゲイルが)。それを車内に持ち込んで、次に向かう先を検討していた中で、
「神社に行くっていうのはどうかな」
 商品のすべてを顔パスで購入したリゲイルが提案したのは杵間山の間近に建つ古い神社だった。
「神社?」
「うん。ほら、なんかみんな運が悪いとか良いとかでどんよりしちゃってるし」
「どんよりなんてしてねえよ」
 剛政がすかさずツッこむが、リゲイルはお構いなしに言葉を続ける。
「大吉とかどかーんと引いたらさ、気分もぱあって明るくなるかもしれないじゃない?」
「うっかり大凶とか引きそうだけどな。特にリチャードと寺島さん」
「「ひいい」」
 クラスメイトPと寺島の声が唱和した。
 柘榴はふむとうなずいた後、
「よろしいと思いますわ。私、ああいった場所は嫌いではありませんし」
「ってか、柘榴さんの場合、神社の裏とかでいろいろやってそうなイメージだけどな」
「まあ、剛政さん、楽しいことを仰いますのね。うふふ」
「うふふって笑うのもどうよって流れだけどな」
 梛織が心持ち顔を青ざめさせながら目を逸らした。
「? 神社の裏でなにをするんです?」
 リゲイルだけが無邪気に目を輝かせていた。
「アーテちゃんは神社初めて?」
「あたしたちが初詣行くとか思う?」
「確かに……」
「どんなとこ?」
「へ?」
「神社って、学校で習ったことはあるのよ。土地の神さまなんかがいるんでしょ。で、なにするトコなわけ?」
 返されたアーテの言葉が予想外だったのか、クラスメイトPは応えに詰まり口の中でごもごもとまとまらない言葉を呟く。
「ちょうど時期が合っていたら祭りがあったりで、そうすると屋台がずらりと並んで、とても楽しいものですけれどもね」
 代わりに応えたのは柘榴だった。
 柘榴はまっすぐにアーテを見据え、満面に笑みを張り付かせたままだ。
 アーテは柘榴の視線を受け止めながら「ふうん」とうなずく。
「今日はやってないの?」
「やってねえはずだな」
 剛政が返す。
 アーテはわずかに残念そうな顔をして、けれども極力それを外には出さないよう、あまり興味のないような素振りをする。
「お祭はやってないかもですけど、屋台を並べるだけなら可能ですよね」
 リゲイルが口を挟んだ。
「わたしも、屋台とかあったほうが楽しいですし。――そうだ、今から屋台の手配をしておきますね」
 言うがはやいか、リゲイルは手にしていた携帯電話でどこぞへと電話をかける。
 リゲイルたちが乗っている車に並走していた黒塗りの高級車が、突如スピードをあげてどこかへ走り去る。入れ替わり、どこからともなく現れた、やはり黒塗りの(以下略)が静かに寄ってきて並走を始めた。
「え、ちょ、もしかして今の電話だけで屋台並べちゃったわけ?」
 梛織が問う。リゲイルは不思議そうに首をかしげ、「そうですが?」と、あたりまえのようにうなずくのだった。


 ◇


 神社では急遽並んだにしては決してわざとらしくない風の屋台が数多く、それこそ本当に祭りがあったときにもここまで並ぶことはないだろうという数のそれが軒を並べていた。
 浴衣姿の子供たちが風車を手に駆けてゆく。
「……おいおい、マジかよ」
 剛政が軽い目眩を起こし、クラスメイトPが感嘆の声を発している傍ら。
「皆さん、まずはおみくじ引きましょう!?」
 リゲイルが寺島の腕を引いた。
「ちょ、シノブに触らないで! シノブはあたしのなんだから!」
 アーテがリゲイルの腕を払う。が、そのアーテの手をやんわりと掴んだのは柘榴で、柘榴はやはり微笑みのまま、言い聞かせるような口調でアーテに向かった。
「アーテさん? 誰かが誰かのものになるということはないんですよ? ひとはものではないのですから、例えあなたが将来神になる方であっても、それは曲がらないことなんです」
「ざ、柘榴さん……っ」
 寺島が柘榴の言に目をうるませた瞬間、柘榴はあっさりときびすを返して屋台へと向かっていた。
「べつに、だからって寺島さんに関心があるわけでもなさそうだね」
 クラスメイトPが寺島の肩を軽く叩く。
「グッドラック!」
「おまえもな」
 そのクラスメイトPの肩を、追い越し様、梛織と剛政のふたりが同時に軽く叩いていった。


 屋台ではりんご飴あんず飴ヤキソバわたあめと一通り食し、射的では剛政が、寺島が欲したジッポ(銀製)をコルク弾で打ち抜いたり、そのコルク弾がなぜか跳ね返ってきて寺島の眉間に痕をつけたりもした。
 クラスメイトPは神社裏手の杉林で藁でつくった人形をいくつも見つけ、梛織はアーテのために金魚をこれでもかと言わんばかりに獲った。
 柘榴は飴細工のニイチャンに無理難題をリクエストし、リゲイルはお面売り場で戦隊ヒーローものの、むろんレッドの面を子供数人と本気の奪い合いを繰り広げたりもした。
 アーテはやはり寺島にくっついたままだったが、初めに比べればずいぶんと距離が離れてきているようにも見える。

「で、おみくじはどうだった?」
 ゆうに数分間、神妙な面持ちでおみくじ箱を振り続けていた(そうして最後には巫女さんに笑顔でキレられていた)寺島が引いたものを後ろから覗き込んだ梛織に、寺島は必要以上に驚き、目を見張って振り向く。
「な、ななななんでもないです」
「え、なに、もしかして大凶だった?」
「! 違いますよ!?」
「もしかしたら大吉だったんじゃない!?」
 激闘の末に手に入れたレッドのお面を満足そうに被ったリゲイルも顔を覗かせる。
「僕は大凶だ〜!」
 クラスメイトPがその場に崩れおちる。
「大丈夫よ! 大凶は数が少ないんだっていうし、それを引けたっていうことは幸運なことなのよ!」
 意味のわからない慰めを口にするリゲイルになだめられ、どうにか立ち直ろうとするクラスメイトPのその後ろでは。
 剛政は大吉でも大凶でもなく末吉という、中途半端なものを引いたのだが、問題はそれよりも『願望』に書かれてあった内容だ。
 ”まだ勝てず。もうしばらく堪えよ”
「おおおおお俺のなにを知ってるって言うんだああああ!!」
 勢い任せにおみくじをばりばりと破り、思うさま踏みつける。
「で? で? 寺島さんはどうだったんです?」
 漢泣きにむせぶふたりの男を意識の外に追いやって、リゲイルは再び寺島に顔を向けた。
 寺島は「なんでもああああありませ」と言いながらおろおろとおみくじを後ろ手に隠そうとしたが、柘榴がすかさずそれを覗き込んで微笑みを浮かべる。
「まあ、小吉」
「え? 小吉? なんかそれも微妙に地味な」
「シノブ、ちょっと見せて!」
 アーテが寺島の手からおみくじをむしりとる。
「……ホントだ」
 唖然とした表情を浮べるアーテの横で、リゲイルが嬉しそうに声を弾ませた。「小吉をひくぐらいだもの、アンラッキーなんかじゃないんですよ!」
「それとも、皆さんが放つ陽気が、アーテさんや寺島さんご本人が発する陰気を上回っているのかもしれませんわね」
 通りがかりに貰ったものらしい団扇で軽く扇ぎつつ歩み寄ってきた柘榴が口を挟む。
 アーテは下唇をかんでわずかにうつむき、初めて寺島の袖を離して足早に――クラスメイトPの傍に駆けていった。
「エエエエエエ!? ちょ、え!? 寺島さんをやめて僕に乗り換えるとかそういうのはちょっと……っ!」
 心の底から慌てふためいたクラスメイトPが大袈裟に手を振る。アーテは小さな息を吐いて足を止め、金魚すくいの前で膝をおってしゃがみこんだ。
「……アーテちゃん」
 梛織は「大丈夫だって、リチャード」そう口にしてクラスメイトPの腕を軽く叩き、アーテの横に膝をおって満面の笑みで声をかける。
「金魚はさっきいっぱい獲ってやったろ? ――場所変えるか?」
「……うん」
「そういえばアーテちゃん、リオネちゃんを捜してるんだっけ」
「街の全容を見たらリオネがどこにいるのかもわかんのか?」
 顔を覗かせたクラスメイトPを振り向いてうなずいたアーテに、剛政が射的で文字通り打ち落としたジッポの蓋を開け閉めしながら問い掛ける。
「うん。わかると思う」
「そっか」
 アーテの髪をわしゃわしゃと撫で付ける。
「全容……全容を見るのだと、さすがに車では無理ですよね」
 リゲイルが残念そうに口にして、次いで、「ならヘリを呼べばいいのかな」などとさらりと口にした。
「いいえ、私の使鬼を呼びましょう」
 柘榴がやんわりと微笑む。
「真達羅ならば飛空を可能としていますし、途中でリオネさんを見つけたなら、そのままそちらに向かうこともできますしね」
 柘榴の足下に伸びる影がふつりと波打った。


 ◇


「ふわあ……! ヒラメみたいですね!」
 リゲイルが感嘆の声をあげた。
 
 杵間山の頂上に移動した彼らの目前に現れたのは柘榴が呼び出した使鬼の内の一、酉に位置するもの、真達羅だった。
 ヒラメのように平たく、丸い目は山形に五つ並んでいる。尻尾は飛行機の尾のように三つに分かれ、尖っていた。
 愛想よくひらひらと宙を飛び交うその様には、リゲイルもアーテも共々喜色を満面に滲ませる。
「これに乗れるの!?」
 ぐるりと振り向いたアーテに微笑んで、柘榴は「でも」と言葉を続ける。
「でも、本来なら真達羅は音速で飛行するもの。けれど音速で奔るこの子にあなたを乗せるわけにはいきません。特別にゆっくり飛ばせるのですから、わがままは言ってはなりませんよ」
「わかった、言わない! やったー!」
「わ、わたしも乗ってみたいのですが」
 リゲイルが申し出る。
 柘榴はゆったりと微笑んでうなずき、間近に真達羅を呼び寄せてふたりを乗せてやると、なるべくゆっくりと飛ぶように命じてから再び空へと放ってやった。


「なんつうか、普通のガキなんだな、たぶん」
 夕暮れかけた空を飛ぶ大きな影を見上げながら、剛政は今さらのように息を落とす。
「僕、さっきひどいこと言っちゃったよ」
 クラスメイトPが深いため息を吐き、
「せっかくだし、もっと時間が早かったら星砂海岸あたり連れていってやるのもアリだったんだけどな」
 梛織が腕を組む。
「でも、もうそろそろリオネさんのところに送っていってあげないと」
 寺島が言ったのに三人はおのおのうなずいて、気がつけばいくぶん離れた場所にまで移動していたふたりを仰ぐ。
 真達羅はたまにふと速度をあげたりして乗客を戦かせたりしていた。

「あ、あそこにリオネがいる!」
 アーテの小さな手が指差したのは市役所に近いコンビニで、リゲイルもその位置を確かめる。
「リオネ、出かけてたのかな。もう戻ってきたみたいね」
 アーテの頭をやわらかく撫でながら微笑むリゲイルに、アーテはくすぐったそうに目を細ませた。

「そうですね」
 柘榴が、やはりゆったりとした笑みを浮かべてうなずいた。


 ◇


「それじゃね」

 市役所の前までリゲイルの車で送ってもらい、寺島に手を引かれながら、アーテは見送る五人に向けて小さなばいばいをする。
「ってか、初めから市役所に連れてきてたら良かっただけの話なんじゃ」
 梛織がこぼしたのに剛政もうなずいた。
「俺もそう思う」
「まあまあ、でも、楽しんでもらえたみたいだし良かったじゃない。僕らも楽しめたしね」
 クラスメイトPが笑う。
 と、梛織と剛政とが同時にクラスメイトPに向き直り、
「ってか、おまえ、出前の途中じゃなかったか」
「え」
「本田さんちに冷やし中華持ってくんだったろ」
「……あ”あ”あ”あ”あ”ーーーーーー!!」
 叫び、リチャードはそのまま転げるように走っていった。
「あーあー、クレームどころの騒ぎじゃねえなこりゃ」
「やっぱりつくづくアンラッキーってか、アレだよなあ」
 呆れたように苦笑する。

「また遊びましょうね、アーテ」
 大きく手を振るリゲイルの横で、柘榴は口を開けるでもなく、ただ静かにアーテを送る。
「かわいい子でしたね」
 リゲイルが言ったのに、柘榴はようやく口を開けた。
「そうですわね」
 艶然と微笑んで、そのままくるりときびすを返す。


 太陽の傾きかけた空の端、夏はもうすぐ終わりを告げようとしていた。

クリエイターコメントお届けが遅れてしまい、大変に申し訳ありません。
今後は一層の精進をこころがけます。

ええーと、コミカルなテンポで進め、それで時々ほろりと夕暮れな感じをもりこんでいければと思いながら書かせていただきました。お待たせしてしまった分、少しでもお楽しみいただけていればと思うのですが……。

ともかくも、まずは深いお詫びを申し上げます。
これにこりず、よろしければ今後ともまた機会がありましたらご縁を賜りたく思います。
公開日時2007-08-27(月) 09:40
感想メールはこちらから